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タケルとのプチ同棲はあっという間に過ぎ、担当を交代する日がきた。
引き継ぎがあるので、私はタケルを連れて事務所へと向かった。
「おはようございます」
事務所の中に入ってまず目に飛び込んできたのは、嵐士の姿だった。
「おはようございます。芹架さん」
その言葉にタケルは嵐士を睨み付けていた。
(まずい…。このままだったら喧嘩になるかも…)
そんな思いとは裏腹に、嵐士はニコニコと微笑んでいる。
「何、笑ってんだよ」
「タケル」
それでも嵐士の表情は変わる事がなかった。
「三人ともミーティングルームに入って」
花南さんの声で、私はタケルを先に歩かせミーティングルームに入った。
向かい合わせで座ると、タケルは正面は向かず横を向いていた。
引き継ぎが始まってもタケルは返事をしない。
「ちょっと聞いてんの?」
そんなタケルの態度に、花南さんの方が我慢出来なかった。
「うっせぇーな。聞こえてるよ」
「あのね、私は芹架みたいに甘やかさないからね」
「……………」
(何か嫌な予感……)
その嫌な予感は的中した。
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