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「大体、あんたのマネージャーするのだって大変なのに」
「だったらこのままでいいだろ。俺だって芹架以外は嫌だね」
タケルと花南さんの言い合いが始まると長くなる。
何故なら、どっちも引かないからである。
「仕方ないでしょ。私だって好きであんたに付く訳じゃないわよ」
「ふん。あんたとは合わない」
そんなやり取りを見ていた嵐士はクスッと笑った。
それに気付いたタケルは、
「何が可笑しいんだよ?」
「いえ。先輩って子供っぽいんだなと思って」
「何だと。おい…」
私は今にも掴み掛かりそうなタケルを押さえるのがやっとだった。
「タケル、止めなさい」
私の言葉にタケルは大人しくなり、また横を向いてしまった。
「とにかく、明日からになるから宜しく」
引き継ぎも終わり、タケルと最後の仕事場に向かおうと席をたった時、嵐士が急に私の前に手を差し出してきた。
「明日から宜しくお願いします。芹架さん」
「あ、宜しくお願いします」
私と嵐士は握手を交わした。
それを見ていたタケルは、私の腕を掴み、
「今は俺のマネージャーだ」
そう言って、私を引っ張りミーティングルームを出た。
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