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翌日事務所で、私は正式に嵐士の担当マネージャーになった。
タケルの表情は冴えず、やはり機嫌が悪い。
「俺、先輩に負けないような俳優になりますよ。て言うより追い抜きますよ」
急に嵐士は、タケルを挑発したような言い方をした。
「あっそ。マネージャーさん、時間的にまずいんじゃねぇーの?」
タケルは嵐士の言葉には乗らず、事務所を出て行った。
(タケル、大丈夫かな……)
タケルの後ろ姿を見送っていると、
「芹架さん」
「えっ?」
後ろを振り返った時、嵐士は私のすぐ後ろに立っていた。
「やっと、俺のマネージャーになってくれましたね」
私は、すぐに一歩引き、
「えっ?どう言う事?」
この時、私は嵐士の事が少し怖かった。
「そのままの意味ですよ。俺、芹架さんに付いてほしかったし、それに、まだまだこれからですよ。一つ目標が叶いました」
そう言いながらも、嵐士の表情は笑顔でいる。
嵐士が何を考えているのか、私には全く検討がつかなかった。
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