プライド

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駐車場まで来ると、ようやく手を離した。 「何考えてるの?」 「何がですか?俺は別に構いませんけど」 「あのね…」 私はつい声を荒げてしまい、 「そんなに怒らないで下さいよ。ほんの冗談です」 「冗談でもこんな事しないで」 そう言っても、嵐士は反省するどころか、唇の端を上げ笑っていた。 (どうしよう…どう扱っていいのか判んないよ…) 「芹架さん、行きましょう。俺遅刻しちゃいます」 私は嵐士を車に乗せ、映画のオーディション会場へと向かった。 うちの事務所の俳優のほとんどは、オーディションを受け合格すれば出演が決まる。 それは、タケルも例外ではなかった。 会場に着いて受付を済ませると、大きな控え室に通された。 そこには何人か他の事務所の俳優さん達もいて、少しピリピリした空気が流れていた。 嵐士は窓側まで行き、そこに腰を下ろした。 周りの雰囲気に圧倒されていると、 「さすがに凄いですね」 「そうだね…」 「そうだ。芹架さん、合格したら俺と付き合って下さいよ」 私は嵐士の顔を見たまま動く事が出来なかった。
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