プライド

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「何馬鹿な事言ってるの。オーディションに集中しなさい」 「別に馬鹿な事なんて言ってないですよ。素直な気持ちを言っただけです」 そう言って、また笑っていた。 (もしかしてからかわれてる?タケルとの事知ってる訳じゃなさそうだし……) 「よ、余計な事考えてると合格しないよ」 「大丈夫ですよ。合格する自信あるんで」 そう言うと立ち上がり、 「ちょっとその辺見てきます」 部屋から出て行った。 (ハァー、何か疲れる……) 「香月さん。どうしたんですか?ため息なんてついて」 声を掛けてきたのは、タケルが以前共演した時に知り合ったマネージャーさん。 「担当してるの相沢君じゃないんですね」 「えぇ、事務所(うち)に新しく入った子なんです」 「時元君?でしたっけ?」 名前を出されて、少し驚いた。 「うちの俳優、前に共演してるんですよ。顔見て思い出しました。香月さんも大変ですね」 言われている意味が判らずポカーンとしていると、 「彼、プライドが高く、何を考えているか判らないと、うちの俳優が言ってました」 確かにそうだと、私は思わず頷いてしまった。
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