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花南さんが出て行ってしばらくした頃、 「芹架さん、先輩の事気になります?」 「えっ?」 「だって、凄く心配って顔してますよ。まっ、俺はこのまま先輩が壊れてくれればいいんですけどね。そのために引き離したんだから」 「引き離したって……タケルは…壊れたりしない」 反論するかの様に言い返すと、嵐士は高笑いをした。 「人間なんてもろいんですよ。特に先輩はね。今に見てれば判りますよ」 私は、嵐士の言葉を無視して、 「そろそろ、現場に行かないと。遅刻するわよ」 そう言って、先に事務所を出た。 (今晩あたり、タケルの所に行ってみよう……) すぐに追っかけて来た嵐士を車に乗せ、撮影現場へと出発した。 「芹架さん。これだけは言って置きます。あなたが担当しているのはこの俺です。だから、俺だけに集中して下さい」 「………判ってるわよ」 その返事に嵐士は、 「判ってくれてるなら、それでいいんです」 私は、嵐士の笑顔が少しだけ怖かった。
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