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いつの間にか寝てしまったのか、朝を迎えていた。
(あっ、もう朝なんだ…)
「おはよう。芹架」
そう言うと、私の腕を掴んで自分の方へと引き寄せた。
結果、私はタケルに抱きかかえられる格好になってしまった。
「タケル?」
「シッ。黙ってろ。補給中。やっぱあったけーな」
私はしばらく、タケルに抱き締められていた。
「今日は早いのか?」
「うん。映画の撮影が始まるから」
「そうか」
タケルは私の体を起こし、触れるだけのキスをした。
「先に出た方がいいかも。花南(あいつ)、迎えに来んの早ぇーんだ」
「そっか。じゃ、もう行くよ」
私が帰り支度をしていると、タケルは落ち着かない様子で、
「あっ、あのさ……」
「何?」
「明日の夜、家に来れるか?」
「うん。大丈夫だと思うよ。どうして?」
急にそんな事を言われて、少し驚いた。
「来れるならそれでいいんだ」
「そう。じゃ、もう行くね」
「おう。じゃ、明日な。行ってらっしゃい」
「行ってきます」
そう言って、タケルのマンションを出た。
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