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私は一旦自宅に戻り、家事をしてから事務所へと向かった。
「おはようございます」
事務所に入ると珍しく、嵐士はまだ来ていなかった。
「よっ!お疲れ」
「あー、おはよう」
「おはよう」
そこには楓の姿があった。
「芹架、最近相沢っちに会った?」
(まさか、今まで会ってたなんて言えないし…)
嘘を付いている罪悪感はあったものの、取り合えず誤魔化す事にした。
「えっ?何で?」
「いや、また、心閉ざしたみたいでさ」
「きっと大丈夫だよ。一時的なものだと思うし」
いつもの楓なら表情が明るくなるのだが、この日は違っていた。
「おはようございます」
そんな話をしていると、嵐士が事務所に現れた。
「おはよう」
嵐士の姿を見た楓は、何かを感じ取っているのか、それ以上タケルの事には触れて来なかった。
「じゃ、俺は行くわ」
そう言って立ち上がり、別の部屋へと入って行った。
(どうしたんだろう…楓)
楓の表情が気になったが、すぐに仕事へと切り替えた。
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