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「さて、そろそろ行こうか。撮影の前に雑誌の取材入ってるし」
「芹架さん。この間言った事覚えてます?オーディションに合格したら付き合って欲しいって話し」
「そんな話は知りません」
私は軽く嵐士の話を流した。
急に嵐士は私の腕を掴み事務所を出て駐車場まで来ると、私を車に押し付けた。
「痛いよ……」
「芹架さん、先輩の言う事は聞けるのに俺の言う事は聞けないんですね」
「どう言う事?」
腕を押さえ付けられて身動きが取れないでいた。
「俺、先輩の秘密知ってるんですよ」
「秘密って……何?」
「それは、今言えません。言ったら面白くないでしょ」
(怖い……)
恐怖がこみ上げてきて、私はいつの間にか涙を浮かべていた。
「芹架さん、泣かないで」
嵐士が私の頬に手を当て様とした時、無意識に顔を背けてしまった。
「仕事に戻りましょう」
拘束していた腕を解き、車へと乗り込んだ。
(何?……。何なの……)
私はしばらく、そこから動く事が出来なかった。
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