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状況を呑み込もうと真っ白になった頭をフル回転させ、私は深呼吸をした。
(タケルの秘密?私達の事がバレてる?まさか……ね)
そんな事を考えていると後ろから、
「芹架さん、行きますよ」
嵐士は何事もなかったような顔をしている。
私はもう一度、大きく深呼吸をし車に乗り込んだ。
「芹架さん、乱暴にしてすみません」
「…………」
私は返事をする事が出来なかった。
「さすがに怒りましたよね?」
「……。まっ、少し……」
「あんな乱暴な事、もうしませんから」
「………うん」
私が答えられる精一杯の返事だった。
車を走らせていると、携帯の着信音が鳴り響いた。
「芹架さんのですか?」
「あっ、うん。でもメールだから」
私はバックミラー越しに、嵐士の様子を見て見た。
タケルとは違い、いつも持ち歩いているノートパソコンと睨めっこしている。
(いつも何してんだろう……)
嵐士はタケルと反対で、台本を車の中で読む事もある。
大抵は、台本を読むかパソコンを触っているかのどちらかだった。
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