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現場に着いてすぐに、打ち合わせが始まった。
私は横で嵐士の様子を見ながら、さっき届いたメールを読んでいた。
それは楓からだった。
それもたった一言
『気をつけろ』
とだけ送られてきた。
(前にもそんな事言ってたな…)
私は返事をせず、後で楓に電話をしようと思った。
雑誌の撮影は、約一時間くらいで終わる。
私は、嵐士の使っていた控え室を片付け取材現場を後にした。
(ふぅー。何かタケルと居る時より疲れるな…)
次の仕事場に向かおうと車を発進させた時、今度はメールの着信音ではなく電話を知らせる着信音が鳴り響いた。
「ちょっと、ごめん」
私は車を端に寄せ、携帯電話を取り出した。
着信名を見ると、また楓からだった。
「もしもし」
「あっ、芹架?今どこに居る?」
「えっ?今移動中だけど。どうしたの?」
楓の声はいつになく慌ただしくも思えた。
「相沢っちの撮影スタジオ知ってるよな?」
「うん」
「悪いんだけど、今すぐ来れないか?無理なのは判ってる」
私は嫌な予感がして、
「判った。嵐士を送ったらすぐに行くから」
そう言って電話を切った。
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