*夜月*

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*夜月*

その瞳 この距離を埋めるように 君に歌った 夜空が遠くても 眠りから覚めて 晴れわたらない空を背に 飛び羽ばたいた あの日の夕日も 痛め続けてきた月の光さえも 一人見えずに遠くを見た 腕に刻む時間は果てなく長く 愛より深い 両手ですくう涙も甘く 香りたつ空に心奪われ 狂いたつように 胸を熱くし震え上がった あなたの 手に 声に 温もりに 全て委ねて 眠りにつくまで 傍に居て 目を合わせると 蘇る記憶 たとえ 消えてしまう泡になっても 響き渡る貴方の歌が 聴けるなら 人魚のように 夜の月と一緒に 私は海に帰るの 貴方の夢を 抱いて 静かに 遠く 遠く あの日を夢見て *
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