サチ②

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「ありがとう。助かったょう。 あたし彼以外の男の人苦手で…。 声かけられそうになって逃げて来たの。 あっあたしの名前は結花! 《花を結う》って書いて《ゆいか》って言います。」 彼女はそう言って照れ臭そうにはにかんだ。 「あっ、私は山崎早智恵です。 ゆいかちゃんかぁ。 可愛い名前だね。」 私は彼女に少し見とれた。 私もこんな風に生まれてたら、男運悪いなんて言われなかったんだろうな…。 「早智恵ちゃん?可愛い名前! ねぇ?さっちゃんって呼んでいい? さっちゃん…あの娘…女優さん…えっと…あや…あやや…ぢゃないくてっ あっ 堀北真希ちゃんに似てるね? あたし可愛い女の子大好きなんだ!」 結花ちゃんはおっとりしながら勢い良く話してくる。 「ははっ…似てるかな? たまに言われるけど 自覚ないなぁ…。 あ,関係ないし。」 私はなんかこの娘とは仲良くなれる気がした。 「やっぱし?言われるでしょ? 似てるもん! あっ?そのコート《ロペ》の新作でしょ? 可愛いよね? あたしも欲しかったけど今年は《SHIPS》で買っちゃった! ナースさんなんだね? かっこいい!」 結花ちゃんは人懐こく話してくる。 可愛いな。 「ははっ…詳しいね。 うん、ロペで衝動買い。ナースなんて3Kだよ。《苦しい》《きつい》《汚い》の… 全然かっこよくないよ。」 わたしは本気でそう思った。 「えっー? あたしは《かっこいい》《可愛い》《給料高い》の3Kだと思うよぅっ! あたしなんてアパレルバイトだから。」 そっか…人から見たらナースってそう見えるんだ…。 ふーん…。 「ねえねぇ?携帯メアド交換しない? 良かったなんだけど…。」 結花ちゃんが言葉とは裏腹に本当に照れ臭そうに提案してくれる。 「ん?いいょ?」 私も鞄から携帯を取り出そうと捜してみる。 「遅くなりました!」 突然お店の扉が開いて1人の男の子が入って来た。
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