サチ②

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《Bar kotobuki》 私は看護士と名乗ってからことある毎にここに夏奈子と二人で通っている。 ここのマスターの藤崎さんは夏奈子の初めての担当患者さん。 無事退院してからお店でイベントがある度に男性客の紹介を目的に呼んでくれる。 今夜はダーツ大会。 「こんばんは!藤崎さん来たよ。」 夏奈子が扉を開ける。 「おぉ?待ってたよ。今晩は。」 藤崎さんはお世辞でも爽やかとは言えない空きっぱの笑顔で出迎えてくれる。 「こんばんは…。」 私も夏奈子の後について店に入る。 「おっ?早智恵ちゃん?今夜も俺のタイプだね? 今夜こそ俺と子作りするか?」 藤崎さんが空きっぱを気にせず下品に笑う。 「ははっ…遠慮しときます。」 藤崎さん本当は紳士なのに笑わそうとするセリフは顔と一緒で品が無い。 私は藤崎さんと目を合わさずお客の品定めをする… メタボのリーマン。 80年代の映画から出てきたみたいなダサい男。 オタクっぽい2人組 なんか遊び人みたいな人 あっ、1人かっこいい人いる。 妻夫木みたい! いぃなぁ… ってなんだ彼女連れかぁ… 彼女も綺麗だな。 なんか,中川翔子とリアディゾン足して2で割ったみたいな娘… いいなぁ… 「ねぇ?早智恵?あの人かっこよくない?」 私がぼんやりしていると夏奈子が遊び人を指差してそう呟いた。
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