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昭和を生きてきた自分にとって、文明の発達には何度も驚かされてきた。
まさかテレビがあんなに薄くなると思わなかったし、インターネットを通じて世界と交流できるなんて考えたこともなかった。
「なあ、幸恵。これどうやってメール打つんだ?」
「もう、お父さんったら。本当にアナログ人間よねー」
「はいはい、どうせ昭和の人間ですよ」
「そんなこと言ってるんじゃないの。いい? メールはね……」
今だって、最近娘に、嫁さんとペアでプレゼントされた携帯電話と格闘している。
老眼には小さい文字は耐えられないし、近頃は記憶力も衰え、どのボタンを押せばいいのかもすぐに覚えられない。
(電話もずいぶん変わったよな……)
俺が青春時代を謳歌していたときは、まだ黒電話が主流であった。
数字に合わせてジコジコ回し、リンリンうるさく鳴る、あの真っ黒な電話。今では、見かけなくなったが。
あの頃は、待ち合わせしたときに遅刻をしても、相手にそれを伝える手段が無かった。
今は、携帯電話一つあれば問題ない。文明が進化するということは、やはり人間にとって良いことなのだろうか。
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