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仁『どうした?つらかったのか?』
服の裾を握ったまま、ただ「じん」と俺の名前だけを繰り返し呼んでいる。
仁『大丈夫。ずっとそばにいるから』
どんな結果が出るのか…
しばらくして、医者が診断結果をもって入ってきた。
医『お待たせしました。えーと、検査の結果ですが…まずは、何とお呼びすれば…』
かずやの服を握る手に力が入る。
それにあえて気付かないふりをして、答えた。
仁『かずやです』
医『…それでは、かずやさんと呼ばせていただきますね。まずは心配されていた頭ですが…』
俯いているかずやの肩がビクっと動き、関節が白くなる程さらに強く服を掴んできた。
その手の上に自分の手を重ね、小さく「大丈夫」と囁いてから、続きを聞いた。
医『記憶がなくなった理由はまだ分かりませんが、頭にこれといった異常は見受けられませんでした。体についても軽い打ち身や擦り傷程度で、心配することはないでしょう』
良かった。まずは一安心だな。
医『あと…こういう事案の場合』
仁『すみません、少し待ってください。かずや?あのさ、少し先生と話するから智久の所に先に行ってて?』
まだ…聞かせたくない
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