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それでも中々呼ぼうとしないから聞いてみた。
仁『なに?何で呼んでくれないの?友達だと思ってたのは俺等だけだったのか?』
かずやは下をむいてしまって、何も答えてはくれなくなった。
仁『何か言ってよ…今思ってる事でいいから。呼びたくないなら無理に呼ばなくていいんだし』
か『違うの…』
ずっと黙り込んでいたかずやがポツポツと話しだした。
か『呼びたくないんじゃないの…嬉しいんだよ。こんなあやしい奴を友達だって言ってくれてさ、でもね』
懸命に泣くのを我慢しているんだろう、膝のうえで手をキュッと握って肩を強ばらせていた。
か『途中で分からなくなったら言ってね。なんかすべてが夢なんじゃないかなって…仁…さんに倒れてるの見つけて貰って親切にしてもらったのも、記憶がないのも。だから…その…さん付け無しで呼んだら…』
かずやの横で心配そうに見上げてるランを一撫ですると、顔を上げ、俺の目を見てはっきりと言ったんだ。
か『夢から覚めちゃうんじゃないかって…魔法が解けちゃうんじゃないかって…俺は…嫌だ!』
仁『何が嫌なの?』
か『仁さん達と離れたくない!』
それが名前呼ばなかった理由?
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