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~仁~
最愛の人を亡くしてから、3年が経とうとしていた。
智久と俺は同じ大学に進み、バイト先まで同じ。
聖は相変わらず記憶を失ったままで…。
思い出しそうになると暴れだし、手が付けられなくなるからと、精神病院へと移っていった
最近では和也の事を言わなくなったけど、聖の中では和也がまだ生きているから。
1年位前までは大変だったんだ。
聖『なぁ、亀はまだ帰ってこないの?』
『短期留学だったよな?それにしては長くねぇ?』
やっぱり入院してから1年以上経つのに1度も顔をださないなんて、和也の性格上ないしな…。
聖『亀になんかあったのか?なぁ、そうなんだろ?』
何も言えなくて、黙り込むとパニックになって暴れだす。
これの繰り返しの日々。
俺がバイトをしてるのは、聖の入院代の足しにしてほしいからで、智久はそれを知らない。
言えば智久も出すって言うに決まってるから。
聖の心の病は和也の事件のせい……だからそれを背負うのは俺に課せられた事だからさ。
智久は何も知らないままで、和也の件から解き放してやりたいんだ。
罪に縛られるのは俺だけでいい…。
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