816人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
“……なんでこうなったか話してもらえる?”
目の覚める直前、現実との狭間で聞こえてきたかずやを攻めるような男の声。
聞き覚えがあるような…無いような…
仁『…ん…うーん』
か『あっ!じん?じんっ?』
ゆっくり目を開けると、涙をいっぱいためて俺を見下ろすかずやがいた。
そっと手を伸ばして頭を撫でてやると頬に一滴の涙が落ちてきた。
か『じん…大丈夫?』
仁『うん…俺はいったい…』
か『じん…いきなりうめき出して倒れたの』
体を起こしてみると痛みも何もないから、まだ泣きそうなかずやを優しく抱き締めた。
か『うっ…』
静かに泣き始めたかずやの背中を擦ってやる。
仁『ごめんな。もう大丈夫だから』
まだ涙を流し続けるかずやを抱き締めながら、周りを見回してみた。
…やっぱり誰もいない
さっきのは…やっぱり気のせい?それとも夢?
新たに増えた不思議な声を一度頭の隅に追いやって、かずやが泣き止むのを待ち今の治療の進行具合をきいてみた
か『…少しずつ朧気だけど、俺のいた時代の事、思い出してきたんだ』
かずやの表情が一気に曇り出す
最初のコメントを投稿しよう!