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車に乗り込み、シートベルトをして病院へと向かう。
その間も智久はルームミラー越しにチラチラと後ろの奴を見てて…
仁『ねぇ君さ、少し落ち着いたと思うんだけど…何か思い出したかな?』
『特に何も…ごめん』
ランの頭を撫でながら、優しい表情で…申し訳なさそうに答えていた。
仁『仕方ないんだから謝らなくていいよ』
『…でも』
そう言って泣きそうになりながらランを見つめる姿もやっぱり和也にそっくりで。
…胸が締め付けられそうになる。
智『本当にそっくりだよね…和也にさ』
仁『……あぁ。ふとした表情や仕草までそっくりだよ』
後ろの奴に聞かれないように、コソっと会話する。
いつまでも「君」とか「奴」とかって、ないよな?
仁『あのさ、思い出せないの仕方ないけど、俺等も何て呼んでいいかさ💧名前ないと不便だよね?』
だからって俺が決められる訳じゃないし。
仁『だから、何か思いつく名前出してみて?君が呼ばれたい名前を。』
俺と智久で決めるとしたら、間違いなく2人共「和也」にするだろう。
頭で分かってても…どうしても重ねてしまうから
しばらく考えていた口が開き、一つの名前が出た。
『…かずや?』
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