おやすみ

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おやすみ

朝起きると、時間は9時、今日は精神病院に行く日だ。 (やべ、遅刻…) 病院に着くと、9時半。中の長椅子に座ると、隣のオジサンにアイツが憑依して、ちらちらオレを見ている気がした。 アイツとは、もちろん幻聴の声のアイツだ。 こっちも、ちらちら見てしまう。当の本人のオジサンは、全く関係無いのだが。 (*** ***さん) 名前を呼ばれて入ると、オレの脳みそがストレスと悲しさで疲れているのを感じた。 (どうですか?) 先生、 (先生、今まで薬増やされるの嫌だから言わなかったけど、幻聴と妄想が全然止まって無いんです…、) 言葉が次々に出てきて、長椅子での事から、精神薬以外に何か無いのかとか、色々話した。 精神薬が嫌なのは、気持ち良くもなければ、楽しくも無い、体も普通と比べ調子が悪くなる。幻聴も消えない。だが今の状態で飲まなければ、普通どころか、寝れない、テンパる、幻聴バンバン。そうなるのはここ7年で実証済みだ。 (薬増やそう) そういう先生に、何度かそれは嫌だと伝えたが、しょうがなく、 (じゃあ1錠だけ…) と、信用して話を終わらせた。 外は、明日から8月だと思えないほど涼しい。 (ああ仙台だもんな) 関西育ちで、関東にもいた事のあるオレは、もう4年もいるのにまだ慣れない。 まだ長袖を着ている人がいるのは、こっちでは普通なのかもしれない。 (東京もこのぐらい涼しかったりして、全国全部がこんなだったりして…。オレだけが知らなくて…) 病人特有の妄想にかられながら、この時期飾らられる七夕まつりの用意を見て歩く。少し童心にかえれるのは、悩みも楽になる。 ラーメンを食べ、する事が無いのでふらふら散歩していると、忘れてたかのように思いついた。 (DVD借りよう) ビデオ屋に行き、ゲゲゲの鬼太郎とoasisのCDを借りて帰る。特にする事が他に無い。 見だしたのはいいが、猫娘の役の女優の名前が思い出せない。それが気になり、映画に集中できない。 (あぁ誰だっけ?) 映画を見終わってから気付いた。 その後、だらだらTV見て、今に至る。新しい処方薬は少しは効いたかな。
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