「今日、ダブル(通し)ね」

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クロークというのは、忙しい宴会のサービスとはまったく別次元かのように時間の流れがまったりしている。 お客様の大事な「お荷物」をあずかるわけだから、見張り番みたいなもの。 当然、その場から長く離れるわけにはいかない。したがってずっとそこで就労時間を過ごすわけだ。 クロークに入る者は、会食で使うナフキンを折ったり、立食パーティの際に料理のそばにおくメニュー(札のようになっている)を切ったり。 しかし、そんな内職はあっさりとすぐおわってしまう作業。 おわったら何をしているのか? 私の場合、ケータイでメールチェックやらm●xiにログインやら●ちゃんねるを覗いてしまっている。 そこに誰かが通りかかると、とてつもない勢いと量の冷や汗が背中を伝う。 お客様でも上司でも同僚でも。上司だったら3倍動揺するわたし。 そしてだんだん飽きてくる。何をするか? メモ帳にひたすら自分の今の気持ちを書きまくる。自分自身と向き合ういいきっかけである。 その行為は、傍から見ればまるで「書き仕事」をしているかのように思われる(はず)。 そのメモ帳を誰かに見られたら、わたしは恥ずかしくて死ねる自信がある。 だからその場を離れるときは胸ポケットにしまうし、仕事がおわってかえるときも鞄に入れて持ち帰る。
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