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「桜……そろそろ…。」
「トイレで、ですか?」
「なにがっ…違うからね、教室の前だしそろそろ降りようかって意味だ。」
「むむむ……仕方ないですね俊介さんは……。」
桜はやっと俺の背中から離れた。
だいぶ楽になったな。
俺はいつものように机に鞄を置いてぐで~と伏せる。
なんだ雪も大介もまだきてねえのかよ。
暇だし桜のところに足を向ける。
桜からこっちにこないなんて珍しいしね。
「あれ……あれ……。」
「ん……どうしたんだ桜?」
「体操着がなくて……もってきておいたはずなんですが……。」
桜の表情は本当に暗い。
俺も軽く記憶を探る。
うん……確かに金曜日昼食に桜が机くっつけたときなにかがかかってた。
ならどこにいった……1人で歩いてどこかに行くわけがない。
「つか今日朝体育だしな…………あ……俺のジャージで良かったら使うか?」
朝体育の時は中に体操着をきて寒ければジャージを着るという完璧な二段構えの俺。
「そ、それは嬉しいんですけど……外はまだ寒いですし……。」
この前も話したと思うが家柄とか性格もあって桜には友達が少ない。
男の俺達を外せばクラスに2、3人ぐらいだろうか。
う~ん桜は魅力的なんだけどなあ……。
「なめんなよ……俺はその昔海パンで氷の張った池に落ちたことがあるんだぞ?」
勿論亜紀姉関連事項だが……。
「で、でも……。」
「あ……勿論洗ってあるからその辺は問題ないからねっ。ほれっ。」
当て付けみたいな感じで投げ渡した。
桜は満面の笑みをみせて着替えるために女子専用ロッカー向かっていった。
……だがしかし偶然だろうか。
さっきの上履きといい今の体操着の件。
だが俺の勘違いってこともある。
慎重に見極めたい。
もしいじめなんてくだらない連中がいたら俺は絶対許さない。
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