小さなカフェ『黒ねこ』

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『カフェ 黒ねこ』へようこそ。 私がマスターの『ちび黒』です。 『ちび黒』という名前は、昔につけて頂いたあだ名ですのであしからず。 それにしても、よくこんな小さなカフェを見つけて下さいました。 なんせ、地下にある小さなカフェですので、客席はいつも空席だらけなんです。 ご来店頂いたお客様には、こんな空間が良いとお喜びになられていますがね。 しかし、このカフェに訪れるお客様は、みなさん同じ物を抱えていらっしゃる。 一人で来店されるお客様も、多数で来店されるお客様も同じ物を抱えていらっしゃる。 不思議なものです。 んっ? あなたは今までのお客様とは何か違いますね。 あー、今まで来店されたお客様の話しを聴きにこられたのですね。 では、話して差し上げましょう。 とりあえず、お飲み物でもお持ちしましょう。 当店自慢の『黒ねこの黒いコーヒー』で宜しいですか? ん? コーヒーは苦手でいらっしゃる。 ご安心下さい。 何方でも美味しく召し上がって頂けるコーヒーになっております。 一度ご賞味あれ。 あっ、一つお約束をして頂いて宜しいでしょうか。 なーに、簡単なお約束ですのでご心配なさらないでください。 お話しを聴く際に、私の帽子の中をあまり見ようとしないでください。 ただこれだけの事です。 こう見えて恥ずかしがり屋ですので、あまりみられるとお話しが出来なくなってしまうんです。 それに、私の顔なんて見たところで、なんの価値も無いですからね。 お約束して頂けますね? では、只今ご用意致しますので、しばらくお待ち下さい。
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