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「東宮さん、僕と付き合って下さいっ!」
私は、有名私立に通う今日高校3年生になった「東宮胡桃(とうじょうくるみ)」新学期の集会が終って帰ろうと下駄箱から靴を出した所で気付いた手紙に書かれた場所に来たら、隣のクラスの男の子に告白されてしまった。
彼は学年の女の子の間で何度か名前を口にされる位の男…。
「ごめんなさい…」
切な気に答えた私の声に彼は一瞬目を見開いて「ありがとう」と、笑って返し背中を向けて歩き始めた。
彼の姿が見えなくなった所で横の草むらからガサガサと音を立てて私の友人「朝霧千里(あさぎりちさ)」が服に葉っぱを付けて現れた。
「み~ちゃった」
短目に切り揃えられた黒い髪を揺らし千里は腰に手を宛て前かがみに私を覗き込む。
黒い目が好奇心にキラキラと輝く。
和服が似合いそうな小さく可愛らしい外見とは裏腹に千里は意外に元気活発で趣味は護身用にならっていたはずの柔道。
そんな友人に私はデコピンを入れる。
「草むらからコソコソ見るなんて変態みたいな趣味だよ千里?」
見られる事なんてよくある事だから気にしないけどさ。
「いたぁいっ」
大袈裟に痛みを訴えて千里は大きな目に涙をうかべておでこをさすりながら私を見てニヤリと笑った。
「ねぇ胡桃、今回は何処が気にいらなかったの?彼中々いけてたじゃん?」
朝にしっかりとセットしてきた私の髪をカールとは逆方向に指を絡ませながら千里が聞いてくるから、私は慌てて髪を千里から離す。
茶色とも、薄いピンクともとれるカールをかけた髪を私は崩れていないか確認する。
「何処がって、まず!下駄箱に手紙を入れて呼び出しとかキモすぎる!いつの時代よ、あの程度の外見でこの私に話しかけてくる度胸が信じられない!私見たいに可愛い子には普通気が引けて話しかけれない物よ」
一気に言い切った私を見て千里は大笑いを始めた。
「確かに手は古すぎるよね、でも後者は胡桃の何時もの意見だ」
望みが高過ぎる何てよく言われるけど…そんなんじゃない、私の隣に立っていい男はたった一人、12年前に帰って来ると約束して引っ越してしまった「鏡宮要(きょうみやかなめ)」だけなんだ!
「相手の男にそう言っちゃえばいいのに、相手の反応が面白そう」
千里は未だ笑いながらそんな事を言う。
「何で、千里の笑いの為に私が築き上げた可愛いイメージを崩さなきゃいけないのよ」
「おもしろいから」
言い終えて千里は再び笑った。
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