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階段を登って直ぐ右のドアを開ける。
「お帰り要!」
見知った家、12年思い続けた要に会える。
私はノックも忘れて開いたドアの中には見知った部屋が広がる…はずだった。
いや…12年もたてば趣味があって少しは変わってるだろう…例えばインテリアに観葉植物、例えばギター関連の雑誌ポスターとか…そんな上等な趣味じゃなくてもせめて…たくさんの格闘ゲームや冒険物語みたいな…そんな変化位なら想像はしていた、していたけど…この部屋は違う…。
一般的な部屋とはかなりの違うと思う…。
えと…まず、観葉植物じゃなくて…お人形さんが…私が小さい頃に持ってたリカちゃんとかじゃなくて、制服らしいミニスカートをはいてパンティをチラつかせたお人形さんとか他にも色んな種類の格好をした同じ様な顔をした…。
ざっと見た感じ三人位の種類の人間さんが沢山…。
ギターじやなくて、これも又お人形さんと同じ顔の女の子の抱き枕に。
ギタリストのポスターじゃなくて…壁一面に貼られた同じ顔の…。
格闘ゲームじゃなくて女の子がパッケージに描かれたゲームが大量に山積みにされてて…。
ここは何処でしょうか…地球の人が住むには異世界じみたこの空間はいったい何処でしょうか私は何時から異次元に迷い込んだのでしょうか…?
ゴソっと言う音に目を向けると伸びた髪をボサボサにし、顎にはやはり伸びた髭をはやしたホームレスとも見える男が。
服は着ている様で安心したけど…白いシャツにプリントされてるのは…同じ顔の女の子。
これがアイドルのなら退きはするけどここまでショックは受けない…二次元のあれなのだ…。
子供がよく着ているキャラクターシャツは知っている…でも目の前にいる男はもう子供にはとても見えない…。
髭をあんなにはやしている子供は私は少なくとも知らない!
「誰だよ」
男の声に私な体は更に硬直する、私は知らない男の部屋に入りこんでいるのだ、こんな美女が!
危険過ぎる…。
「えと…私は胡桃…じゃなくてっ!部屋を間違えた見たい、失礼しました!」
慌て出ようとするのに混乱しすぎて足が上手く動かない。
「あぁ、胡桃か久しぶり」
そっけない男の声に目を見開き再び男をみる、男は興味が無いとばかりに布団に再び沈んでいた…。
「え…要じゃ…無いよね?」
願うような気持でたずねた言葉に男は「要だよ」とだけ返してそれ以上何も言わ無かった。
私の夢は悲惨な現実の前に音を立てて崩れた。
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