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私は「解った」とだけ小さく呟いて、ブラウスのボタンに手をかける。
私の突然の行動に流石に要も驚いたみたいで目を見開いた。
「ちょっと待て!」
私は要の静止の声を無視してボタンを一つづつ確実に外して行く。
「待てって!」
要の手が私の腕を掴む、痛いくらいに強く捕まれた。
「何で…私は…」
泣いている事で言葉がうまくつなげない。
目の前にいる要の顔もハッキリと見えないほどに涙が目にたまっている。
唸るような、困った要の言葉にならない声が耳に届いた次に要が大きく息をすったのが解った。
「とりあえずボタンを閉めて、もう12年前とはお互い違うんだし…」
要から告げられた言葉に私の肩はピクリと動いた。
変わる事が無かった私の思いまで否定された様な気がして私は又さっきと同じ感情に動かされる。
私は勢いよく要の手を払い除けて両肩を強く掴み口を開いた。
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