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オーナーの鈴原義美は、二号店の店長植田環を事務所に呼び出した。
背が高く、痩せ気味で神経質そうに絶えずメガネの位置を気にしている彼の表情は無表情だった。
「植田ちゃんさぁ…」砕けた感じで義美が言いかけると、植田環に遮られた。
「ちゃんはやめて頂きたい。オーナー、何度も申し上げているが…」
「わかった、わかった。ハァ~。まぁ、植田くん、君はお客様にたいしてもそんな態度なのか?」義美はほとほと彼の事が苦手になっていた。
1号店の槙村や紗香とは全く違う、植田をどうやってコントロールすればいいかわからなかった。
「すべてのお客様には満足して帰って頂いてますが?」植田はそんな事を聞かれるとは思ってもいなくて、不思議そうに首を傾げて、メガネを直した。
「…。このアンケートを見てくれ」義美はため息をつきながら、植田にアンケートの束を渡した。
アンケートを手に取った植田は、回答の内容を見て怒りの為に手が震えてきた。
「ったく…、これが一体何なんですか?」植田は努めて冷静を取り繕いながら言った。
「全く君は…。お客様は機械のような接客ではなく、笑顔溢れる接客を求めているのだよ」普段、槙村や紗香に見せない真剣な表情で植田に怒鳴りつけた。
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