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オーナーの鈴原義美は、二号店を出たその足で一号店に向かった。
もう閉店時間を過ぎている一号店の事務所に入ると、紗香と槙村、富岡兄弟が楽しそうに談笑していた。
こんな和やかな雰囲気は二号店にはなかった。
バイト達は植田を恐れてピリピリしているのだ。
あの雰囲気に紗香が果たして受け入れられるのか不安だったが、彼女の明るい性格と笑顔があれば大丈夫だと思った。
「義美さん?!お疲れさまです」紗香はソファから立ち上がると、義美に走りより彼の肩を軽く叩いた。
義美は紗香に力を貰った気がして、少し元気が出た。
そして、来週から2週間、紗香が二号店に行く事を告げると、槙村やバイトの皆と離れたくないのか、紗香は少し悲しそうな顔をした。
「まぁ、紗香ちゃんが皆と離れたくない気持ちはわかるけど、お願いだ、紗香ちゃん」真剣な表情で義美が言うと、紗香は泣きそうになりながら言った。
「2週間もマキのお尻が触れなくなっちゃう…」
この言葉に真剣になった自分がバカらしくなった義美と、富岡結希にからかわれて真っ赤な顔の槙村がいた。
富岡靖は一人窓辺に立ち、事務所から見える夜景を楽しんでいた。
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