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「見たんだ。夢で知らない誰かが俺に名前をつけてた。それが俺の……」 「はぁ……」 ミハエルは深いため息をつき、クロスの言葉を遮った。 そして、重々しく口を開く。 「よくは知らないが……確かにお前は俺の弟じゃない。ある日、父がお前を連れてきた。だが、お前が誰でどこから来たかを父は言わなかった」 「やっぱり……な。じゃあ母さんは……家族じゃない俺なんかをかばって」 クロスは胸が苦しくなり、うつむいた。 家族でもない子供をかばって死んでしまった母。 自分がいなければ母は今も生きていたかもしれない。 幸せにミハエルと暮らせていたかもしれない。 そう思うと胸が苦しくなり、涙が溢れてきた。 「それは違う。母は……お前を本当の子だと思っていた」 ミハエルは救いの手を差し伸べるようにそう言うとクロスをその場に残して行ってしまった。
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