ある晴れた日に

7/28
前へ
/30ページ
次へ
 新しい下着のままお風呂場を出て、階段をかけあがり、部屋に飛びこんだ。  クローゼットをぱかっと開けて、お気に入りの白いワンピースを取り出す。ふんわりとしていて、まさにお姫様のドレスみたいだ。可愛い。自分に似合うのか心配になったけど、とりあえず着てみた。  黒いハイソックスをタンスから取りだし、ワンピースのふんわりとした感じを潰さないように、よたよたと立ってはいた。いつもは、座ってはくから一苦労だ。  白い花の刺繍がついているバックに、携帯電話とお財布とハンカチとティッシュとiPodと遺書をいれよう。お財布の中には、使わないというのにくれる、お小遣いの一万円を全て持って行こう。小銭も持っていかないとな。念のために。  携帯電話よし、お財布よし、ハンカチよし、ティッシュよし、iPodよし、あれ遺書がない。机の引き出しをがさごそと探るけれどない。書いていないのを、書いていると勘違いしていたみたいだ。早く書かなければ。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加