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ぶうたれる沖田を目の端に捉えて、土方は馴れた手付きで
懐から出した煙管に煙草を詰め込んだ
「お前がその顔をする時は
良くねぇ事を考えてる時だ。」
だろっ?そうこぼすと同時に
火を付けた煙管がジュッとひとつ鳴く
それを呑気にくわえる土方の
その態度に思わず片膝を立てた沖田は、更に言葉を続けるべくにじり寄る
だが、そんな様子にも一瞥くれただけで呆気なく……
んな話しは聞きたくねぇなぁ
そう会話を遮断されてしまった
流石土方、とでも云うべきか?
いやいや常日頃、沖田に良いようにイジラレているだけあって流石に熟知したようだ。
だが沖田とて、ここで引き下がる訳にもいかないのだと、更に鼻息を荒くする
「土方さんに、是非会ってほしい人がいるんですぅっ!」
いつにも無く真剣に訴える沖田
それに多少、気を許しそうになる土方だったが……
毎度それで痛い目を見てしまう訳だし、まだ嫌な予感は拭えないと渋り気味な様子で黙り込んでいる
流石に今回はそう簡単にはいかないか、と対する沖田は目を細め思案した
と、言うのも昨日、彼を手玉に取って小遣い稼ぎをしたばかりで、そのせいでいつにも無く今日は警戒心が強い
ここ最近、土方さんも扱いずらくなったものだ……と、
己の行いはさて置き、用心深くなった彼の首をどう縦に振らせようか……
そうしばし考えてみる
けど結局、それすらも面倒になった沖田は、なら仕方がないと強行突破を進めるべく突如、腰を浮かせると障子の向こうにいる羽衣に声を掛け部屋へと招き入れてしまう
その合図に慌てて雪駄を脱いだ羽衣は、おずおずと顔を覗かせ
沖田に促されるままに部屋へと
一歩踏み出し、適当な所に腰を下ろした
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