2251人が本棚に入れています
本棚に追加
唖然とする二人をよそに、
土方は何度も言わせるな……
そう照れたように呟いてから、
「でっ?祝言はいつにするんだ?」
そう、心なしか楽し気に、二度確認する彼の問いを完全無視し
羽衣は瞬時に体を反転させると隣に飄々(ヒョウヒョウ)と座る沖田に容赦無く掴みかかった。
「あっ!!あんたぁ―――っ!!
ここまで来ればうちが逃げられない思て……っ卑怯やないっ
あぁあぁ、そないな魂胆やったんやね?
だから人質まで捕って、何も言わずに!!うっ……うちを連れてきたんかぁ――――っ!!!」
グッと狭められる眉、沖田の胸ぐらに置かれた手は怒りでフルフルと振え、羽衣自信も余りの苛立ちにその振動は押さえられない。
だが、修羅場と化した二人の
その傍らで、ただ黙って傍観していた土方は一度、呆れたように視線を畳に落とした後、何ともやるせない盛大な溜め息を吐いた
「総司おめぇ……、いくら女に目覚めたからって物事には
“順序”ってもんがあんだぞ?」
女はなぁ……?無理に手に入れようとしても“スルリ”と逃げちまうもんなんだよ
駆け引きが大事なんだぜぇぃ?
そう言って額に手をやる土方は鼻を鳴らして続けざまに言う
これだから女に免疫がねぇ~奴は駄目なんだよっ……と―――
しかしながら、あえて言わせて頂くと少々、着眼点がずれている様だ
『人質』という所に、もっと気を置いて欲しいところである
常々、総司ならやりかねないと前々から思っていたのか……
弟分がようやく“普通の男”になったのだと、嬉しさの余り
早とちりしてしまったのか
それはもうこの際、どうでも良いような気がしてならない
・
最初のコメントを投稿しよう!