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上京からこんにち常日頃、
田舎にいた頃とはうって変わり
冷静沈着を絵に描いたように演じ続けている土方
そんな彼に一方ならぬ心配をしていようなどと、絶対本人には言えないが……
こうしてたまに顔を出す隠しきれない優しさは、やっぱり今も昔も何も変わらないのだと沖田は密かに微笑む
けれどもそれを大袈裟に表情に出す事はせずに、静かに傍らへと視線を移すと
未だ、自らの胸元をぎゅうぎゅう締め付け続ける羽衣の手をそっとよけ、普段通りのしたり顔に面変わりさせた
「嫌だなぁ~!土方さんはぁ~
お茶目さんなんだらぁ~もうっ
私はね?只、羽衣さんの刀筋に興味があるってだけで、彼女自身にはなんら興味が無いんですよぉ~?」
涼しい顔で右手をはためかせ、無い無いと笑う沖田は、
意識してか、もしくは無意識なのか……?
綺麗に引き上がる口角からなんとも爽やかな、けれど決して甘くは無い毒を吐く
されど羽衣自身、もう無理矢理手籠にされるの決定だと思い込んでいただけに……
沖田の言葉を聞くなり、溶けた蝋燭のようにヘナヘナと力なく畳に崩れると、自らの胸を抱いて心底深い安堵の溜め息をもらした
だがついで訪れるは、自分の馬鹿な勘違いぶりに伴い灼熱のように妬ける耳と顔
恥ずかしさのあまり体中から
何やら訳の解らないモノが噴火しそうだとうつ向いてしまう
そしてもう一人、総司が嫁を連れてきたと思い込んだ土方も、自分の勘違いぶりに頬を染めつつも、会話中の意外な単語に気付くと
再びもう一度、沖田の言葉を己の胸の内で復唱した
刀……筋?総司の野郎。
今度は何、企んでやがんだ?
嫌な予感が先程からこの胸に渦巻いているのに変わりはない
それでも、総司が女をわざわざ
屯所(ココ)まで連れてきた意図はまだ見えないと、ふと土方は黙りこむ
そんな二人の反応に満足げに笑んだ沖田は、更に土方を驚かそうと実に衝撃的な言葉を口にするのだった
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