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言い忘れていたが只今、
彼等は朝の巡察のまっ最中である。
辻斬り、強盗、恐喝―――
ここ、幕末の京の都は存外世知辛い
雅な国柄などはとうに昔のこと
今じゃぁ、やれ佐幕だやれ勤皇だと……対するふたつの勢力が小競り合い。
まさに一触即発の危うい状況
そして彼等、新選組の立場としては
勤皇を支持しながらも、それを支える為の幕府も必要との考えを持ち、
過激な攘夷派を日々捕縛しては京の平和に加担しているのだ
和やか?な雰囲気を存分に醸し出してはいるが、これはれっきとした仕事中である。
更に詳しく掘り下げると、
新選組の大事な任務のひとつの
『市中見廻り』
1853年 六月
黒船来航により、永らく平安であった徳川幕府が揺らぎ始める
尊皇攘夷(ソンノウジョウイ)の嵐が吹き荒れ、京の町は暗殺や強奪が横行。
そんな治安を守るために結成されたのが“新選組”という組織であり、今で言う警察の様なものであった。
だがしかし、その“警察”とは明らかに違う点、
それは常に死と隣り合わせの
職務であると云うこと――――
この時代、敵対する者が道で
出会った場合必ずと言っていいほど、互いの命、志しを掛けての斬り合いとなった
その為、何時如何なる時も精神を張り詰めた状態で各々、市中見廻りへと望む
無論、そんな状態での任務は酷を極め、何事も無く屯所に帰れたとしても皆、へろへろになっている
その為、見廻りは当番制となっており、大抵は二つの隊が合同で行ってゆく。
そして今日の当番はお察しの通り、沖田率いる一番隊と、
藤堂率いる八番隊という訳だ。
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