33人が本棚に入れています
本棚に追加
???
「宗谷…おいで、宗谷…」
――どこからか、懐かしい声がする。
この声は確か…。
宗谷
「…お姉ちゃん…?」
それは、まだ宗谷が9才の頃。
当時14才だった姉が居た。
名前は美音(みおと)
宗谷にとって大好きだった姉。
優しくて、頼りがいがあって、当時、気の弱かった宗谷は常に姉の後ろに隠れて居た。
だが、そんな日々はある日、唐突に消えてしまった…。
それは、とある秋の日。
宗谷と美音はいつもと同じように二人で買い物をしていた。
宗谷
「お姉ちゃん、待ってよ~」
美音
「はいはい、宗谷は歩くの遅いなぁ」
宗谷
「僕は遅くないよ、お姉ちゃんが早すぎるんだよ」
美音
「はいはい、じゃあもう少しゆっくり歩いてあげるから。ちゃんと着いてきなよ?」
そう言ってお姉ちゃんが、手を繋いでくれた。
宗谷
「うん!」
この時の僕は、まだ人の死について、よく分かっていなかった。
だからこの日の帰り道、まさか僕にとって一番大事な人が、死ぬ事になるなんて想像もしていなかった…。
最初のコメントを投稿しよう!