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宗谷が恋い焦がれ、そして待ちに待った――
――そう。
宗谷が深く、愛し続けて止まない――
――その人『百合』が今、宗谷の目の前に――いる。
宗谷
「百合……百合だよね!?…会いたかったよ……?」
百合
「えっ…と……確かに、私の名前は百合――だけど、……あなたは…誰?」
宗谷
「――えっ!?」
百合の言葉に宗谷は驚きを隠せなかった。
――最愛の人にやっと再会出来たのに、自分の事が分からないなんて…。
ううん、違う。
そう、美音に教えてもらったあの――『生者と死者の恋愛禁止法』――そして、その罪を犯した罰は、記憶の消去。
――やっぱり、消されちゃったんだね。
百合
「あの……ごめんなさい。本当に覚えてないんだけど…」
百合のその一言に酷く傷付いてしまった宗谷は目を伏せ、作り笑いをして言った。
宗谷
「あっ……えと、ごめん。…僕の……勘違いだったみたい…」
百合
「そう…?…あっ、じゃあ私もう行くね――ばいばい」
宗谷
「うん……ばいばい」
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