再会

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唄歌に入り、まず最初に選曲し歌い出したのは、冬華だった。 冬華は、今どきの流行りの歌が得意らしく、歌唱力も悪くない。 その次は聖斗、美音、宗谷の順で次々と曲を入れていく。 宗谷が入れた歌は、恋愛系の歌。美音は失恋の歌。 そして聖斗はなぜかアニメときた。 聖斗が歌い始めると、宗谷は画面に見入り、 宗谷 「うわぁ、懐かしい」 と言葉を洩らした。 こっちの世界でもアニメなら映像が流れるようになっている。 聖斗が歌い終わり、次は美音の番。 美音 「私の番ね!」 イントロが流れ始めると、美音は曲に入り込むかのように目を瞑り、歌い始めた。 宗谷 「上手い…」 美音の歌声は、誰が聴いても聞き入ってしまう程に上手く、澄んだ綺麗な声で、宗谷もまた聞き入っていた。 歌が終わると、宗谷は少し涙が溢れていた。 美音 「ふぅ…って宗谷、何で泣いてるの!?」 美音にそう言われ、始めて宗谷は自分が泣いている事に気付いた。 宗谷 「あれ…なん、で…だろう?」 知らず知らずのうちに、百合との事を思い出してしまったようで、涙を溢してしまったようだ。 宗谷は涙を拭い、歌い始めた。 宗谷 「とにかく、歌うね。…笑わないでね?」 画面に歌詞が表示されると、それを丁寧に歌い始めた。 宗谷 「♪君に出会えた、あの奇跡を、僕は、ずっと忘れはしない…」 宗谷は歌っている最中に、また涙が零れそうになったが、なんとか堪えて、最後まで歌いきった。
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