冬祭り

5/13

14074人が本棚に入れています
本棚に追加
/439ページ
遊叉は足の進むまま 階段を上り5階まで来ると 長い廊下を真っ直ぐ進み 突き当たりの大きな扉の前で止まった。 授業中だからか 辺りはシーンと静まり返っている。 いつの間にか 理事長室の前まで来てしまった……。 本人に直接 聞いたところで 何か解決するとは思えない。 じゃあ 私は何しにココへ? 遊叉が顎に人差し指を添え 首を傾げながら考えていると 肩をトントンと2回 叩かれ 後ろを振り向く。 「どうかした? 授業中だよ、遊叉」 そこには ニコニコ笑顔の理事長の姿。 遊叉の後を付けていたくせに 白々しい態度である。 ……………………。 無言の遊叉に"ん?"という顔をする郁間 類。 「……………―チッ」 「えぇッ;!?」 やっぱり めんどくさい。 遊叉は "お昼ご飯食べに行くんで。" と言うと、そそくさとその場を後にした。 半泣きの郁間 類。 「……授業中だってば(微泣)」 ―高等部食堂― 「すみません お昼前に来てしまって。」 遊叉は食堂のお兄さんから ナポリタンを受取ながら謝罪した。 お兄さんはにっこり微笑む。 「大丈夫ですよ。 昼間は10時30分から開いてるんで いつでも来てください。」 なんて素晴らしい人なんだ(感動) 食堂のお兄さんなんて もったいない。 レストランの お兄さんになればいいのに。 遊叉は あまり変わらないような事を思い浮かべると "いただきます"と言い 誰もいない食堂を見渡し 一番右奥の席まで歩き出した。 ナポリタンのお皿を テーブルに置き椅子に座って 食べはじめた。 ミートボールを口に含んだとき 食堂のお兄さんが歩み寄ってきた。 「原田さん少しいいですか?」 「……ほい。」 お兄さんはまたにっこり笑って 遊叉の前の椅子に腰を下ろした。 「冬祭りで出すものに 原田ナポリタンを出したいんですけど、どう思いますか?」 「………冬祭り? 原田ナポリタン?」 なんだ? 私をナポリタンに混ぜるのか? 私はお前を 麺に練り込むぞ。 てか 冬祭りってなんだ? 遊叉が勘違いしているなか お兄さんは口を開いた。
/439ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14074人が本棚に入れています
本棚に追加