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―理事長室―
―コンコン
"はい、どうぞ。"
と、中から声がしたので
"失礼します"と呟き扉をあけ中へ入る。
昼休みがちょうど始まったからか
下の階から騒がしい声が聞こえる。
理事長室の中へ入ると
正面の大きい革製の椅子に
腰掛けた理事長が
驚き顔でこちらを見た。
「あれ!?
遊叉どうしたの!?」
「……アホな実家に電話かけるためです。」
「えぇっ;!?」
──────────
────────
──…………
トゥルルルル
トゥルルルル―
只今
3度目のコールが鳴ったところ。
父の従兄弟である理事長に
ケータイを貸してもらい
電話帳から番号まで出してもらった。
やり方がイマイチ
わからないからだ。
………それをどう思ったのか
理事長は
近くにあったバナナ(←)を取り
まるで受話器のように耳に当て
口パクやら手振りでやり方を
教えてくる。
…………馬鹿にされている。
ケータイでの話し方すら
わからないと思われている……。
バナナ鼻に突っ込むぞ。(微怒)
私がそう思いながら
ジト目で理事長を見ていたら
コール音が消えた。
『はい、もしもし』
「………もしもし」
『はい。』
「……………。」
『…………。』
「遊叉!!なに黙ってるのっ;」
―ハッ
いけない、いけない;
電話なんてあまり
した事がないから
つい相手が目の前にいるものとばかり…。
『……―遊叉様?』
おぉ、家で私に
様付けをするのは……
「…喩澤さん、久しぶり。」
電話に出たのは
父の秘書みたいな執事の
喩澤(ユサワ)さんだった。
すると
電話の向こうから
ガタタッ と
何かが落ちる音が響いた。
『ゆっゆゆゆ遊叉様っ
お久しぶりですっ―うわぁ』
"うわぁ"ってなんですか?
なんて思いながら返事をする。
「相変わらず元気そうだね。
お父さんかお母さん居ないよね。」
『問い方が違いますよ;;
奥様は外出中ですが
旦那様はおられますよ!』
「チッ
…………―チッ
じゃあ代わってください。」
『なぜ二回の舌打ちを;!?
少し待っていてください!』
アホな父 遊。
なぜ平日に家に居るんだ。
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