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ガヤガヤと賑わう禿嶺校。
冬祭りが開催された。
「遊叉ーっ!!」
ん?
いつものように
黒を基調とした制服を
きっちり着こなす遊叉。
少し離れた所から
齋であろう声が聞こえ振り返る。
遊叉が今居るのは大ホール。
淡いピンク色や紫色のクロスのかかった幾つかのテーブルに
飲みかけの
ワイングラスやシャンパングラス
高級ホテルさながらの
料理が乗っている。
BGMはゆったりとしたクラシック。
静かに賑わう大人達は
遊叉に目をやると
所々で感心の声を漏らす。
遊叉が振り向くと
やっぱり齋が誰かを引っ張り
こちらに向かって来ていた。
ちょ、紹介いらないからな。
めんどくさいわけではないが
めんどくさい。←
齋は目の前までくると
髭の生えたダンディなおじさんと
美しい隣人……間違えた。
美しい女性を隣に促す。
「遊叉、紹介する!
俺の父親と母親!」
「齋!
そんな紹介の仕方あるか!」
「だって名前言ったって
遊叉 覚える気ねぇもん!」
なんだと?
「失礼だぞ!
未来のモデルに対して!」
誰が決めた。
「あなた、綺麗な肌してるわね。
CM出てみない?」
「遠慮します。
あ、遠くの方で自分を呼ぶ声が聞こえるので失礼します。」
去りながら
後ろから聞こえる
松坂 齋の家族の引き止める声を
聞き流す。
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