冬祭り

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「初めまして。 1年の原田 遊叉です。」 辻先輩の両親であろう人達に 自己紹介をすれば 先程の 齋の両親に自己紹介したっけかな と、思い出す。 「初めまして。 神那の父で優十です。」 「母の奈々です!」 わぁ 辻先輩って父親にそっくりなんだな。 性格(大人しい天然)は誰似だ? 変な疑問を持ちつつ 辻先輩に目をやる。 空のグラスを持ったまま キョロキョロしていた。 しかたなく(←) 声をかけてみる。 「辻先輩どうしたんですか?」 「おかわりが来ない。」 「あぁ多分、人が多いから 頼まないと廻って来ないですよ。」 私はそう言いながら キョロキョロし ちらっと人達の間に見えたウエイタの格好をした人を呼ぶ。 「すみません。 ここのテーブルに ドリンクお願いします。」 「かしこまりました。」 人の波を綺麗にかわし 去っていくウエイタさんを "早くな。"と思いながら見送る。 心の声、酷いなんて言うやつは 居ないだろう。 「…ありがとう。」 軽く微笑む辻先輩。 「いえ、でわ 失礼します。」 "辻先輩って笑うんだな" とか思いながらその場を後にした。 ―辻― 「優十さんに負けず すごい紳士ねっ」 「なんか良くわからないけど ホストみたいだったね。」 「やだぁ~!優十さん憧れ~?」 「まあね」 クスクス笑い合う辻の両親。 ……久しぶりに 笑った気がする。 辻は自分の頬を指で軽く挟む。 ―
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