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何故、賑わっているのかそれは……。伊藤先生が新しい問題を黒板にのんびりゆっくりと書く。
その間に喋っていよう考えた男子生徒が、隣に座っていた女子生徒に声をかけた時のことだった。
男子生徒の横を一本の白いチョークが通り過ぎていった。
「私の授業で喋ろうなんて、百年早いんだよ! この若造が! 分かったなら静か~に待っていようね?」
また喋りかけてチョークが飛んできたら堪らないので、喋りかけないようにした。
「さっき喋りかけようとした君は、確か……田中君だっけ? 前にも注意したのはずなのに。また喋りかけたわね」
伊藤先生は、手に持っていた教科書を教卓の上に置くと、田中の方に目を向ける。
「たく、何で喋るんだ? ええ!」
声に怒りがあり、田中はびくっとして伊藤先生をじっと見る。目を逸らすとまた怒鳴られるからだ。
先ほどまで清純な女性であった伊藤先生がここまで変わるのは、驚いてしまうであろう。
他のクラスメイト達は、伊藤先生が怒ったら怖い事を知っていたので、喋ろうとは思わなかった。
それと同時に伊藤先生の教室の中が賑いの元になるあれが見れなくて残念に思っていた。あれとは何か……それはまだ先の話である。
授業が終わるまで伊藤先生の怒りは収まらないかと思えたが、澪がすっと立ち上がる。
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