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彰は、小夜子に言われた事は当たっていて、それがショックというか……ただ落ち込んでいる事は確かだ。
何でかと言うと、よろめき右膝を床につき、両手も床に置いていて、表情が暗かったからである。
「お前、何気なく俺の心を傷つけるんだな…」
小夜子は、彰が言っている意味が分からなくて、首をかしげる。
この動作に彰は、「相変わらず天然ドSっぷりだな。あんなに人を弄っといて、俺をそんなに弄るじゃねぇと言うと、『私、いつ彰を弄ったけ? 』、というんだよな。参るよな、無意識に人を弄るからな……ああ、怖い」、とそんな事を思っていた。
「彰…どうかした? もう次の授業が始まってるよ」
小夜子に言われ、周りを見渡すと皆が黒板に書いてある事をノートに写していて、次の先生の話を聞いていた。
それに彰は慌てて、授業の用意をした。
彰は小声で何かを呟いていた。
「余り考え事をしないでおこう」
何を言っていたかと思えば、反省をしていた。
大体、反省をする事は分かっていたことだが。
そんな二人を澪は、恨めしそうに見ていた……いや、悲しい瞳で。
悲しみに包まれている澪を……蒼色の髪をしている女が見守っていた。
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