―第一章―

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真剣な表情をしたから、どんな話なのだろうと思っていた澪にとっては、たいしたことない事だった。 いや、誰でもたいしたことない事はないだろう。たいしたことではなかったためとそれならメールでしてこいという気持ちがあり、その二つが怒りになり鼻がピクピクと動く。 「そんな事ならさ、朝の時に言うとかメールで知らせるとかあるだろ!?」 両手を少し広げて言うと、何を思ったかは分からないが、百合子が澪に急に抱きついた。 いつも抱きついて来るので、家とかなら何とも思わないが、今は大衆の前。 大衆の前で抱きつかれると、どんな噂話を流されるか分からないし、それに恥ずかしくもあった。 「姉貴!? 早く離れろ! 大衆の前だぞ」 恥ずかしくて顔を真っ赤にさせながら言うが、恥ずかしいのと半分嬉しいと思っていた。 百合子は、澪を見てムフフと笑う。 「別にいいじゃない、抱きつくぐらい。あ、そうだ。さっき、澪ちゃんが言っていた事だけど、もう一つ足りないわよ」 本当にもう一つあるのだろうかと澪は百合子を疑う。どんな事を思っているのか姉の百合子には、分かっていた。 さあ、どんと可愛いらしい表情を見せて頂戴。 「直接言うことよ。私みたい会いに行って直接言うってね♪」
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