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澪は、しどろもどろに小夜子に来た理由を告げる。
「今日は、バイトないからさ。散歩してたんだけど、この暑さだろ?……」
そのあとのことを言いまいか躊躇っていると、小夜子はどうしたんだと思ったが、言いたい事はすぐに分かった。 考えるとおかしくクスリと笑う。
澪は、笑われて少しむすっと顔を横に向ける。
「ごめんね、笑って。涼みに来たんでしょ? うちに」
澪は何で分かったのかと思ったが、すぐに答えが出た。
態度に出ていたんだろうなと思い、さっきの自分を思い浮かべるとおかしく笑った。
「澪? 早く家に入りなよ? 暑いよ外」
澪の手を掴み、強引に引っ張る。引っ張っている時の表情は喜びに満ち溢れていた。
「おい! 引っ張るなよ。痛いって小夜子」
そう言いながらも嫌がっておらず、小夜子に引っ張られながら家に入っていった。
ゆっくりと扉が閉まっていき、がチャリと音を立てて閉まった。
――澪たちは、リビングに入った。澪はお邪魔したのだから挨拶をしようと桜の姿を探す。
ソファーの上で寝転びながら、ニュース番組を見ている桜を見つけた。
「桜さん、こんにちは。何かいいニュースでもありましたか?」
ボケーッとテレビを見ていた桜は、後ろから澪の声が聞こえて、普通に座り直した。
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