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あんな恥ずかしい姿を見たら呆れるだろうと、小夜子は澪を見てみると自分が考えていることと違っていた。
「小夜子、今のは何も言わずにスルーするべき所をあえてツッコむとは……。さすがKY女だな」
なんだ違ったんだと安心した。たが、バカにされたと気づいたのはすぐのことだった。
「あーっ 澪! 私のことをバカにしたわね!」
右手を振り上げて詰め寄った。それを澪は後退りしながら笑った。
「悪い、悪い。だってスルーする所をツッコむなんておかしくてさ」
そんなケラケラ笑っているのを見て、少し心がキュンとなった。
『そういう澪も好きだよ。笑われるのは嫌だけど』
最初は怒っていた小夜子も笑っていて、その空間だけ幸せなムードが漂っていた。
一方、桜はというと……。
「あのー? 私を仲間外れにしないで。私も仲間に入りたいなー」
そんな寂しがっている桜の声が聞こえたのか、娘の小夜子が振り向いた。
小夜子の自慢は子供の頃から伸ばし続けて腰に届くくらいまで伸ばした後ろ髪。 その後ろ髪が振り向いた時に澪の目に当たった。
目に当たりもがき苦しんでいる澪をほっといて、桜に声をかける。
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