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今の季節は春。
特に暑いとか寒いとかは感じない、過ごしやすい季節。
ある高校に、地元で有名な学生が居た。
その学生は三年生であり、彼の名前は『久保彰(くぼしょう)』。
髪は黒く、瞳も黒い。髪型は猫っ毛を強引にワックスを使って逆立てている。
学校の制服はブレザーであり、上は水色と白のチェックのシャツに下は灰色のズボンだった。
< 学校 >
< ぱたぱたぱた >
彰(しょう)は教室で1番後ろの窓際の席に座っている。
クラスの席は男女それぞれバラバラになっていた。
彼はシャツの第一と第二のボタンを外し、右手には愛しいモノが握られていた。
彰:「(…気持ち良い…)」
< ぱたぱたぱた >
全員:「…」
HR中の先生はもはや、彰のその風景には見慣れていてもため息が出た。
彰は春夏秋冬の毎年、毎月、毎週、毎日、必ず『団扇(うちわ)』を持って登校する。
それが久保彰を有名にした愛しいモノだった。
先生:「皆ー、今日は新しいクラスの一日目だ。早く友達を作れよー」
< ぱたぱたぱた >
先生:「今日はお前達に嬉しい情報があるぞー?」
生徒達:「!!!!!!!」
その情報に生徒達は目を輝かせる。しかし彰は…。
< ぱたぱたぱた >
< …うっとり… >
彼は扇(あお)ぎながら団扇に見とれる。
先生は彰が喜ぶのを期待していたが、意味がなかったのでがっくりとしていた。
女子①:「嬉しい情報ってなに?!」
男子①:「せんせー、勿体振るなよ!!」
先生:「はははははっ!…聞いて驚け!…このクラスに『転入生』が入るぞ!!」
全員:「!!!!!!」
女子達:「きゃあああっ」
男子達:「うぉおおおっ」
男女共に、ボルテージが上がる。
< ぱたぱたぱた >
そんな中でも彰には関係がなかった。
先生:「(…はぁ…)」
先生はそんな彰に呆れていたが、転入生を見ると彼の様子が変わる事に自信があった。
先生は出入口を見てから転入生に声をかけた。
先生:「入ってきなさい」
< ガラッ >
生徒達:「!!!!!!」
< ざわっ… >
生徒達は転入生を日本人だと思っていた。
転入生は少女だった。
髪は灰色で瞳は緑だった。髪は背中まであるのを後ろで束(たば)ねていた。
彼女は教卓(きょうたく)の所に立つと、先生が黒板に名前を書き始めた。
< カカカッ >
< リターシャ・ツヴァイク >
横文字に男子達のボルテージが上がる。横文字でも彼等は異常に盛り上がっていた。
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