プロローグ

3/3
前へ
/516ページ
次へ
< ぱたぱたぱた > 彰(しょう)は彼女に興味がなかった。 彼の『祭』団扇(うちわ)はこれまでに出会った中でも最高傑作(けっさく)だった。 デザイン、しなり具合、重さ、握り具合…どれをとっても、手の中におさまる。 リターシャはクラスメートを見渡すと、周りとの反応がおかしい、彰に気付いた。 リタ(リターシャ):「…?」 リターシャは団扇を見つめながらうっとりとする怪しい男を見つめていると、先生が彼女に言った。 先生:「ツヴァイクの席はあの空いている所に座ってくれ」 リターシャの席は真ん中の列の右側の1番後ろだった。 彼女の周りは男女均等に座っていた。リターシャの隣を運よくゲット出来た彼等は有頂天になっていた。 < ドキドキ > リターシャの近くの席になった生徒達は彼女に話し掛けたかったが、海外からの転入生だったので日本語が話せるか分からなかった。 リタ:「…」 彼女は彼等の視線を感じながらも、HRが終わった。 < ざわざわ… > リターシャの噂を聞き付け、学年問わずに一目見ようと生徒が駆け付けた。 そんな中でリターシャは席に座り、1限目が始まるのを待っていた。 < ぱたぱたぱた > 彼女を見に来る生徒に混じり、ついでに彰を見に来た生徒も居た。 生徒①:「うわっ…初めて見た!」 生徒②:「…あれが噂の…」 生徒③:「団扇人間!」 生徒④:「…団扇が恋人って本当?」 生徒⑤:「まさかぁ…」 生徒⑥:「そうなんじゃねぇ?リターシャちゃんが来た時も…無関心…だったぜ?」 生徒⑦:「え~?!あの美貌に…見とれないとは…」 途中から彰が注目される。彼は別にそんな噂には興味がなかった。 < ぱたぱたぱた > 彰:「(あぁ…幸せすぎる)」 < … > リターシャはその日、学級委員から校舎案内をしてもらった。彼女が歩くと後ろは『軽鴨(かるがも)の親子』のようにちょこまかと生徒が群がった。 その中は大半が男子だった。
/516ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1198人が本棚に入れています
本棚に追加