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< 朝 >
< 彰の部屋 >
< パチッ >
< ガバッ >
彰(しょう)は珍しく目覚まし時計が鳴る前に起きた。
彼は起きて直ぐに右腕をマッサージする。
彰:「…よし!今日は大丈夫だな!」
彰は上機嫌だった。
彼の腕はいつからか分からないが、不規則に痛みだす。
それは彼の両親は知っている。彰は三人家族だった。両親は彼が起きた時には既に居ない。
彰:「~♪」
彰は身支度を済ませ、用意された朝食を食べると、荷物にお気に入りの団扇を入れて、少し早めの登校をすることにした。
これが彰の運命を変える事になるとは本人はまだ知らない。
< 外 >
< ピーチチチチチ… >
朝早くの囀(さえず)りには雑音がなく、心地が良い。彰は彼等のコーラスに耳を傾(かたむ)けながら歩いていた。
< 学校の校門 >
校門を通ると目の前には運動場が広がる。
彰の学校には周りの学校と比べて、立派な時計塔がある。時計塔は校門から正面にある下駄箱の真上の屋上にあった。
彰:「…ん?」
彰は時間帯から見て、全学年で彼が1番のりのはずだった。
ふと、学校の象徴(シンボル)でもある時計塔の真横に誰かが立っていた。
下からのシルエットでは男子生徒ではなかった。
それを見た彰は鞄(かばん)を小脇に抱えて、五階建ての校舎を一気に駆け上がった。
彰:「っ、くそったれがーっっ!命は無駄にすんなーっっ!!」
彰:「うぉおおおおおおっ!!!!!」
< … >
< 屋上 >
< バターンッ >
彰:「ゼハーッゼハーッ」
?:「!?」
彰は肩で息をしながら時計塔の真横を見た。
そこにはあの人影は居ない。
そして彼が戸惑っていると空から声がした。
?:「…貴方は…確か…団扇(うちわ)の…」
彰:「?!」
彰はバッと上を見上げると、時計塔の頂上に立つ、転入生のリターシャが立っていた。
彼は流暢(りゅうちょう)な日本語よりも、彼女のスカートが下からの風でちょっと下着が見えそうなのに、ドキリとした。
彰:「な…あんたは…」
彰は彼女が自分を知っているのに驚いた。彼は『リターシャを知らなかった』。
彰はリターシャを見つめていると、彼女はスッと彼から向き直り、地上に向き直った。
彰:「!!?」
彰はリターシャが飛び降り自殺を謀(はか)ろうとしているように見えた。彼は慌てて荷物を近くに投げた。
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